荒舘康治のこだわり農家さん訪問記!! vol.5
こんにちは!ごちそうナビゲーターの荒舘です。
北海道の夏といえばやっぱりメロン!中でもお中元ギフトの定番マスクメロンはもらって嬉しいギフトとしても最高峰の人気です。
さて、むかわ町穂別地区は知る人ぞ知るマスクメロン産地ですが、最近「実はあの有名地域ブランドメロンよりも好きだ」という噂をちょこちょこ耳にするんです。果たして噂は本当なのでしょうか?
今回は初出荷の前々日というこの上ないタイミングで、噂に名高い「ほべつメロン」の実力と魅力を確かめに行って参りました。
訪ねたのは「ほべつメロン生産部会」部会長の佐藤裕次さん。今や北海道を代表する地域ブランドに名を連ねる「ほべつメロン」の生産者をまとめる、いわばメロンのプロ中のプロです。
名前:佐藤 裕次さん 年齢:53歳
むかわ町穂別地区出身。
入植時代から穂別で農業を営む4代目。約25年前に
ギフト需要を見込んでメロン生産に踏み切る。穂別の
土と気候を知り尽くし、持ち前の研究熱心さで「高品
質品を高い歩留りで生産する」ことに力を注ぐ。
現在は「ほべつメロン」を筆頭にかぼちゃ、米を生産。
【こだわり】
「見た目」「糖度」といったわかりやすい基準をしっかり押さえた上で、「ひとつ上の美味しさ」を求め、他には例のない完熟品の出荷にこだわっている。
また「ほべつメロン生産部会」では化学肥料、農薬を
抑える取り組みを行っています。
「ほべつメロン」の歴史は思いのほか古く、その誕生は1971年(昭和46年)にさかのぼります。
国策で米の減反が推進されていた当時、隣の夕張から一人の男が旧穂別町に移住してきました。
その名を小林勇。彼は試行錯誤を重ね、ついに夕張産のキングメロンを上回る糖度と果肉の厚いメロンの試作に成功したのです。自身の頭文字を取ってikメロンと名付けられたそのメロンは1972年に初出荷を果たし「ほべつメロン」の先駆けとなったのでした。
それは夕張メロンの初出荷と比べてもわずか数年の差でした。小林勇の名を冠したik品種は、その後も長期にわたって「ほべつメロン」の主力品種の座を担ったのです。
80年代、好景気に支えられたギフト需要増加を背景に「ほべつメロン」の出荷も伸び、最盛期には70戸余りの農家がメロン生産を行っていました。
「ほべつメロン生産部会」では品質のさらなる改善とブランド化を進めます。
1996年には第1回環境保全型農業推進コンク―ルで大賞を勝ち取り、農林水産大臣賞に輝きます。食の安全安心に着手し、「ほべつメロン生産部会」として減農薬、減化学肥料農業に取り組んでいる。
2007年には地域団体商標登録を行い「ほべつメロン」としてのブランドを確立したのです。
メロンづくりにはたっぷりとした昼の陽光と、山間ならではの大きな寒暖差が欠かせません。
さらに穂別地区は春の空気が乾燥しており、これが受粉に良い影響を与えることで甘くて大きな「ほべつメロン」を生み出すのです。
かつて「ほべつメロン」の主力品種と言えば赤肉系の穂別オリジナル品種、ikメロンでした。その果肉の厚さと甘さはあの夕張メロンを上回るとさえ言われたのです。しかし熟成が早く食べごろの見極めが難しいという難点も持っていました。
現在の「ほべつメロン」の主力品種は赤肉のルピアレッド。その特徴は精緻で美しいネット(表面の模様)と高い糖度、そして収穫後の日持ちの良さです。同じく赤肉系代表品種のキング系が収穫後4~5日で完熟してしまうのに対して、「ほべつメロン」は収穫後10日間程度日持ちします。このためメロンが一番おいしいくなる時期、いわば「食べごろ」を逃す心配が少ないメロンとしても人気が高まっています。
おいしいメロンを生む環境と生産者の努力、そしてメロンを味わってくださる皆さんの想いが1玉の「ほべつメロン」に結実しているのです。
平成27年6月18日、苫小牧市公設地方卸売市場において「ほべつメロン」の初セリが行われました。最高値は秀品1箱5玉入りで16万円。昨年と同水準のご祝儀相場となりました。
今年は気温が高い日が続いた上に、寒暖の差もあったとの事で甘さも上々、各生産者とも良いメロンができたようです。
ふるさと納税でも大人気の「ほべつメロン」ですが、農家の高齢化で生産戸数は35戸とピーク時の半分にまで落ちています。卸売流通は上記の苫小牧と札幌の中央卸売市場のみ。
「ほべつメロン」が幻のメロンとされる日も遠くないかもしれません。
【地域団体商標】ほべつメロン 優品2玉入(3.2kg以上)
【地域団体商標】ほべつメロン 優品5玉入(8kg以上)
- 荒舘)
- うわぁ、ビニールハウスの中は暑いですね。まだ6月初旬なのに。
- 佐藤)
- 今日は天気が良いですから尚更ですね。
先週まで天気がぐずついていたのでホッとしています。 - 荒舘)
- ハウス内をこんなに暑くしていてもやっぱり天気が気になるのですか?
- 佐藤)
- 最後に完熟させるのに一番大切なのは太陽の光なんですよ。
ネット(表面の模様)が張る前は昼と夜の寒暖差が決め手なんです。
そこで糖度が決まってくる。ネットを張る段階になったら
しばらくは美しいメロンになってもらうために、ハウス内の
温度や湿度を調整しながら成長をコントロールするのです。 - 荒舘)
- え?大きければ大きいほど良い訳じゃないのですか?
- 佐藤)
- メロンの主戦場はギフト市場ですから。大きさよりもまずは見栄えの良さが
優先されます。ネットというのは果実の成長に表皮が追い付かなくなって
表面が割れることでできます。急に大きくなり過ぎるとネットの見栄えが
悪くなることもあるので、一玉一玉状態を見ながら成長を調整してあげるのです。 - 荒舘)
- ネットを張る前に甘さが決まるのなら、最後の太陽の役割はなんなのでしょう?
- 佐藤)
- そこなんです。メロンの美味しさって実は糖度だけじゃないんですよ。
何というかこう、メロンらしい風味とか…本当に変わってくるのです(笑)
普通の産地なら青いうちに収穫して市場に発送してしまうのですが、
「ほべつメロン」はそこからさらに2~3日待って完熟させてから収穫します。
その最後の2~3日間の決め手が太陽の光なんです。
よく「追熟」っていうけれど、本当は収穫した後はもう熟しないです。
栄養が行かないですから。 - 荒舘)
- なるほど…
メロンの株と株の間に走っているホースは水撒き用ですね?
ん?2本あるなあ…
- 佐藤)
- 片方が冷水、片方が温水を通しています。水分補給でも温度の調整をしています。
- 荒舘)
- もう至れり尽くせりですね。メロン様というか(笑)毎日大変ですよね。
- 佐藤)
- 正直、メロンを育てている間は休日はありませんね。そうは言っても、
こうやってビニールハウスの中で丹念に世話して目が離せないのも
1年のうち3ヶ月とちょっとの間だけですから(笑) - 荒舘)
- そういえば明後日初出荷ですよね?
おや?このメロンもう収穫できそうですよ!
ちょっと味みてみましょうよ。 - 佐藤)
- それはあと2~3日ですね。これから熟してちょっと表面が黄色味を
帯びると出荷できます。明日も晴れて欲しいなあ… - 荒舘)
- こんなに美味しそうなメロンが近くにあるのに!早く食べたい!
メロンが実を付けるためには当然受粉が行われなくてはなりませんが、
それはミツバチの仕事ですね。
でも、そう都合よくミツバチが現れるのでしょうか?
実はミツバチは巣箱と共に全国を巡回する受粉専門の養蜂業者さんにお願いしているのです。最近はみつばちが大量死したり、養蜂業者さんの数が減ったりと、状況は厳しい模様。
「よく外来種のセイヨウマルハナバチを導入するところがありますよね?」と聞くと、丈夫なマルハナバチは気温が低くても飛び回るらしく、受粉に適さない18℃位の気温でも花粉を運んてしまうとのこと。
すると良い果実にはならないそうで、「ほべつメロン」にはどうしてもみつばちの力が欠かせないとのことです。
- 2~3日の差が生む
「完熟」の味わい
「ほべつメロン」は種を植えてから収穫まで全ての期間、ビニールハウスの中で育てられます。
通常、多くの産地ではメロンがまだ若干青い状態で収穫し、流通の途中で熟させる「追熟」を行う事が多いのですが、「ほべつメロン」は畑の中で完熟させるのが特徴です。熟練の農家が1玉1玉の状態を見極めながら通常より2~3日遅く収穫。
このため味と香りに一層深みが増すと共に、届いたその日から1週間程度までおいしさを楽しむ事ができるのです。
- 美しく緻密なネットと
真球を思わせる美しいフォルム
高級ギフトの定番ともいえるマスクメロン。実は見た目の美しさのために細心の注意が払われています。
「ほべつメロン」の外見上の特徴は緻密に張り巡らされたネットの美しさ、そして真球に近い美しいフォルムにあります。
大きなサイズでも見た目が美しいままなのはもちろん、食味も変わらないというのも特徴です。見て楽しみ、味わってまた楽しめる、大切な人に贈るギフトとしての魅力を全て備えているのです。 - 安全安心への飽くなき追求と
手間とムダを厭わない品質管理
「ほべつメロン生産部会」は厳しい減農薬、減化学肥料基準を要求されます。
除草剤に頼らず雑草の侵入を阻むためにハウス内の表土をビニールで覆うなど、食の安全を極めるための手間ひまを惜しみません。
また、受粉に希少な日本のみつばちを使う事で受粉タイミングを最適化し、1本の木に4玉つく果実を2玉に間引きして1玉1玉に十分な栄養を与えるなど、手間とムダを厭わない生産管理で高い品質を守っています。
佐藤さんを取材中、居間のテレビの横にたくさんのデジタル時計のような器具があるのを発見。どうも表示されているのは温度のようです。何なのかなと思いたずねてみると、ビニールハウス一棟一棟の温度が無線で送られてきて表示されているとのこと。
「ほべつメロン」は全てビニールハウスで育てられています。そこで必要なのは徹底した温度と湿度の管理。くつろぎの場である居間にも多数の温度計を並べて、食事の最中でもメロンの状態を気にかけて生活する…そのプロフェッショナリズムに脱帽です。
そして、春になると直売所に出てくるメロンの小玉。地元では漬物にしたりするのですが、表面がツルンとしているし、「ほべつメロン」とは違う品種なのかなと不思議に思っていたのです。ところが小玉メロン、実は間引きされたメロンだったのですね。まさに穂別に来ないと味わえない旬の味…なのかな?
メロンには赤肉と青肉があるのは知っていましたが、ここ穂別で作られているのは全て赤肉メロン。従来赤肉メロンは日持ちがしないため市場流通が難しかったのですが、消費者の要望を取り入れて主力品種をikメロンからルピアレッドに切り替え、一から穂別の風土に合った育て方を模索していったという生産部会の皆さんの取り組みに心を打たれました。
今一番の問題は後継者。メロンを育てている間は遊びにも行けないというのが一番の理由だとか。こんなに素晴らしいメロンを作れるって誇らしいですよね。そこを若い人達にも理解していただいて、「ほべつメロン」の伝統を引き継いで欲しいなと思いました。
【地域団体商標】ほべつメロン 優品2玉入(3.2kg以上)3,500円 (税込)
初夏の強い日差しと夜の涼しさとの温度差が“ほべつメロン”の熟成を助け、糖度の高い甘くて柔らかい実が出来上がります。品質を保つため1本の樹に1個から2個だけ選定して丹念に育ててます。
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【地域団体商標】ほべつメロン 優品5玉入(8kg以上)8,000円 (税込)
ほべつメロン”本来の甘さを堪能できる盛夏向けのルピアレッドをお届けします。
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